飲み手の忍耐が試されるシャブリきっての熟成
本日は「ドメーヌ・フランソワ・ラヴノー /Domaine Francois Raveneau」についてご紹介します。
★profile
ジャン・マリー・ラヴノー/JEAN-MARIE RAVENEAU
1955年生まれ。ボーヌのリセとディジョンの大学で学び、醸造学のディプロマを取得。
79年から父フランソワの元で働き始める。95年に父フランソワが引退。
レニャールで働いていた兄のベルナールがドメーヌに戻り、現在は兄弟でブドウ栽培とワイン造りにあたっている。
ドメーヌを一言で表すと
「飲み手の忍耐が試されるシャブリきっての熟成型」です。
シャブリは早飲みという、一般的な、しかし誤った常識があります。
それを覆してしまうのがフランソワ・ラヴノーのワイン。
20年近く前に私が味わった1981年のプルミエ・クリュ・ビュトーは、すでに収穫から10年以上経過していたにも関わらず、へたった様子が全くしないばかりか、
その張りと艶のある味わいには徹底的に打ちのめされました。
79年以来、父フランソワに代わってドメーヌを仕切るジャン・マリー。
フランソワ・ラヴノーのシャブリは、現在主流の一般的なシャブリとは趣を異にし、瓶詰め直後に楽しめるタイプではありません。
生産者も「最低5年は寝かせて欲しい」と断言しています。
グラン・クリュは10年~20年、プルミエ・クリュで5年程度の熟成の後、その真の姿を表してくれます。
最近では珍しいコルクを守る蝋の封印は、長期熟成を要する証でもあります。
古樽を中心にして醸造を行なっているため、しばしばヴァンサン・ドーヴィサとの近似生が指摘されます。
それもそのはずでヴァンサンとジャン・マリーはなんと従兄弟同士!
それでも相違点は当然あります。ラヴノーのほうが樽熟期間はより長く、シャブリでは稀な18ヶ月も樽に寝かせています。
しかも瓶詰め後もすぐさま売りには出さず、しばらくの間カーヴで樽熟。今日本で手に入る最新ヴィンテージが06年なのは、そうした事情が背景にあるのです。
栽培は農薬使用を極力抑えた減農薬栽培「リュット・レゾネ lutte raisonnee」を採用しています。
所有するブドウ畑には樹齢50~85年という古木が植わり、収穫は全て手摘みで、芽かきによって収量量を50hl/haに制限。
これは極端に低い数値ではありませんが、シャブリ地区に限ればかなりの低さです。適度な酸を保つため、意識的に少し早めのに収穫しています。
熟成において新樽ではなく旧樽を使うシャブリ
他のシャブリとは一線を画した作りも特徴です。
除梗はせず、ステンレスタンクで全房発酵ののちマロラクティック発酵を行ないます。
その後オーク樽に移し、18カ月以上の樽熟成。
樽は、基本的には1年以上使用の旧樽を利用します。
近年のシャブリ地区において、グラン・クリュ、プルミエ・クリュは新樽を用いて厚みを出すのが主流ですが、
フランソワ・ラヴノー はほとんどの場合旧樽しか使用しません。
まれに新樽を使う場合は、発酵から新樽に入れてステンレスタンクは用いません。
ステンレスタンクで発酵させたワインを新樽に移して熟成させると、樽香が強く付き過ぎるという判断からです。
樽熟後、清澄をし無濾過で瓶詰めします。
充分な熟成を経て飲み頃を迎えたワインは、果実味・ミネラル・酸味など全てのが一体となり、素晴らしいハーモニーを奏で、
質の高い厚みのある余韻が長く続きます。 緊張感すら伴う荘厳なシャブリ。
ラヴノーのシャブリ=モンラッシェ・ムルソー?
生産者ジャン・マリー・ラヴノー自身が5年以上待ってから飲むことを薦めているラヴノーのシャブリは、
リリース直後に抜栓してしまってはその真の姿を理解するのは困難かもしれません。
現代的な栽培・醸造のシャブリが主流の今、「古典主義の王道」とも評されるラヴノーのシャブリ。
一部の支持者の間では、現代においてラヴノーのシャブリの比較対象はもはやシャブリではなく、モンラッシェ・ムルソーとも言われています。
また、畑によるテロワールの違いがしっりと表現されているのもラヴノーのシャブリの大きな特徴です。
当主の息子も加わり、意欲的な生産を続けているドメーヌ フランソワ・ラヴノー。
「かたくななまでのこだわり」とでも表現したいその生産姿勢と超熟を経て体感できる圧巻のクオリティに対して、世界中に熱烈な支持者が存在します。
限られた生産量と多くのファン。需要と供給のバランスが全く取れていない生産者と言っても良いでしょう。
Wine Bar Pluribus オーナーソムリエ 大庭 銀座5丁目にある高級ワインをグラスで愉しめるワインバー。 GinzaWineBar G5の姉妹店です。ワインと合うお食事も提供しております。 ◆ウェブ予約はこちら https://www.tablecheck.com/ja/winebar-pluribus/reserve/message ◆電話予約はこちら 050-1809-5533
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