ドメーヌ・アルマン・ルソー・ペール・エ・フィス
偉大さゆえに成し得るテロワールの表現力
ジュヴレ・シャンベルタンを語るにあたり、このドメーヌを抜きにはできず、また最初に紹介することにも異論を挟む余地などないでしょう。
5つのグラン・クリュに加えて、プルミエ・クリュのクロ・サン・ジャックを有し、なおかつシャンベルタン最大の所有者である「ドメーヌ・アルマン・ルソー」です。
屋敷に入ってすぐ右手の部屋では、いまでも父親のシャルル・ルソーが書類に目を通している姿が見られますが、ブドウ栽培やワイン造りのいっさいは息子のエリックが仕切っています。
豪放磊落なシャルルに対して、エリックは寡黙でシャイな印象の人物。
しかし、12年の仕込みが終わってひと息ついたせいか、エリックはいつもより饒舌にこう語っています。
「年によっては色味が淡いときもありますが、私はそれでよいと思っています。大切なことは無理な抽出を行なわないこと。強い抽出はテロワールの表現を損なうだけですからね。」
気がつくと、10年前にあったロータリー・ファーメンターの姿がありません。
ルソーは他の造り手と比べて収穫の早いことで知られていますが、それも無理に濃いワインを造る意志のないことの表れなのでしょう。
「ブドウがよく熟していること。熟し過ぎてはいけません。ワインから飲み手が得る喜びは香りと味であり、色は二の次です。したがって、香りと味がピークの時点で摘み取ることが何よりも重要なのです」。
ドメーヌが所有するシャンベルタンの面積は2・55ヘクタール。シャンベルタン全体の4分の1弱を所有する計算になります。
区画はラトリシエールと接した南端を中心に南半分に集中し、北端の斜面上部にも小さな区画をひとつ持っています。
1921年にエリックの祖父、アルマン・ルソーが最初の区画を購入し、それから7、8回に分けて買い増しました。
最後の購入は09年のことだといいます。
また、定期的に植え替えを行ない、各クリマの平均樹齢を40年に保つととを心がけています。
これは父シャルルの決めた教条でもあります。
「そのためシャンベルタンには樹齢の異なる区画がいくつもあります。多様な樹齢がシャンベルタンに複雑味をもたらすのです」とエリック。
ドメーヌはクロ・ド・ベーズにも142ヘクタールもの畑を有しますが、「クロ・ド・ベーズは温かいテロワール、シャンベルタンは冷たいテロワール」と説明します。
とくにルソーのシャンベルタンの区画は南部にあるため、コンブ・グリザールから吹き下ろす冷たい風の影響を多少なりとも受けています。
そのようなテロワールの違いから、前者がフェミニンなのに対して、後者はマスキュリンなワインだとエリックは言います。
実際に樽熟中のワインを試してみると、違いは明白です。シャンベルタンは緊張感の塊です。
「クロ・ド・ベーズは自分の方から主張してきますが、シャンベルタンはこちらから探しに行かないと何も見つからない。ブルゴーニュでいちばん気むずかしいワインです」。
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